訪問診療
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訪問歯科
訪問歯科とは
訪問歯科とは、精神的や身体的な理由があり、歯科医院を受診することが難しい方や入院中の
病院に対応している歯科が無いなど、お口の中にトラブルがあっても受診が難しい方のために歯
科医師や歯科衛生士などのスタッフがご自宅や介護施設に訪問して、歯科治療や口腔ケアを行
うサービスです。
自宅や施設に来てもらうと費用が高くなると心配かもしれませんが、保険適用になるため、交通費
などの負担はありません。
歯やお口の健康を維持することは、QOL(生活の質)を向上させる上で重要です。
ご自分の歯でしっかりと噛める喜びや食べる喜びを持ち続けることは、全身の健康にもつながっ
ていきます。
そのため、病気や加齢、障がいなどで歯科医院に通院することが難しくなっても、「訪問歯科」を利
用して口腔ケアや歯科治療を受けることを推奨いたします。
訪問歯科の対象者
訪問歯科は希望すれば誰でも受けることができるわけではなく、歯科医院に通院することが難し
い方が対象です。
そのため、「寝たきりの方」「在宅医療を受けている方」「介護認定を受けている方」など、歯科治療
を希望しているのに、通院が困難な方に訪問して歯科治療や口腔ケアを行います。
また、対象地域が決まっており、半径16キロ圏内のご自宅、介護施設、病院が対象になります。
詳しい対象地域に関してはお気軽にご相談ください。
訪問歯科の診療内容
むし歯・歯周病治療
むし歯や歯周病は歯を失う大きな原因ですが、初期の段階では自覚症状が少なく、いつの間にか
進行していることも少なくありません。
そのまま放置してしまうと、むし歯の場合は、歯を大きく削る、神経の処置が必要になるなど負担
がかかります。歯周病の場合には、歯ぐきの炎症だけにとどまらず、歯を支えている歯周組織に
も細菌感染が広がり、顎の骨を溶かして歯がグラグラしてしまうケースもあります。また、歯科治
療を行うことができますが、削った歯や溶けた顎の骨は戻ってきません。
その分、歯の寿命を縮めることにつながってしまいます。
そのため、自覚症状がある場合には、早めにご相談ください。
入れ歯の調整・製作
歯科医院を受診することが困難で、合わない入れ歯を使い続けている方や歯を失っていても、入
れ歯を持っていない方も少なくありません。
歯には1本1本役割があり、失った部分があるとバランスが崩れてしまいます。
そうすると、噛み合わせが合わなくなったり、しっかり噛めなかったりするなど不具合が出て、食事
や会話がしづらいなど、毎日の生活のストレスになります。
しっかり噛めることは、快適に食事ができるようになるだけでなく、脳に刺激を与えるため、「認知
症の予防」にもつながります。
また、入れ歯にはいくつか種類があり、保険診療、自由診療がありますので、患者さまのご希望
に合わせて入れ歯のご提案をさせていただきます。
嚥下リハビリ
「食事中によくむせる」「口や舌が上手く動かせない」などの飲み込む際の動作がスムーズにいか
ないことを「嚥下障害」といいます。
飲み込む動作がしにくくなると、食事に時間がかかる、食欲が減るなどの不具合が出るだけでなく
、誤嚥や窒息などを招いてしまう可能性があるため、早めに対応する必要があります。
顔面体操
食べるために使用する筋肉を訓練する体操です。
お口に空気を入れて膨らませたり、目を大きく開いたり、唇をすぼませたりして、顔の筋肉にアプ
ローチする体操を行います。
食べ物を喉に送るための筋肉や、噛む力に大切な顎周りの筋肉の強化を図ります。
発音・発声の訓練
「あー」「いー」「うー」「べー」と唇や舌を大きく動かす「あいうべ体操」や「パ」「タ」「カ」「ラ」と発音す
る「パタカラ体操」は、飲み込む時に行う嚥下の動きと似ている部分が多いため、嚥下の練習にも
つながります。
嚥下のタイミングが合わない、誤嚥がある方を対象に行うリハビリです。
口腔ケア・誤嚥性肺炎の予防
口腔ケアは、患者さまごとに毎日のセルフケアの方法をお伝えします。
お口の状態を確認して、汚れが残っている所の確認とその部分の汚れの落とし方をお伝えします
。歯ブラシを当てることが難しい方はご家族の方にお話ししてサポートしていただくようにしており
ます。
また、セルフケアだけでは汚れが残ってしまうことが多いため、歯科衛生士によるプロケアで、歯
石などの汚れも落とし、お口の中を清潔にします。
お口の中の細菌を減らすことは、誤嚥性肺炎の予防にもつながります。
また、誤嚥性肺炎の予防には「口腔機能回復」が効果的でお口の機能を高めるための訓練をして
飲み込む機能の向上を目指し、誤嚥性肺炎の予防を行います。
訪問歯科の費用
訪問歯科は、保険適用となりますので、健康保険や介護保険の自己負担の割合によって治療費
が決定します。
また、交通費や出張費はかかりませんが、通常の治療費に加えて「訪問診療費」が加算されるた
め、歯科医院に通院した場合と比べると少し治療費が高くなります。
訪問歯科は、施設などで診療を受ける人数によって異なるため、一概には言えませんが治療費
+1500円程度の負担になることが多く、通院するための手段や介助費なども考えると、訪問歯科
を選択する方が、歯科治療がしやすい方もいると思いますので、お気軽にお問合せください。
訪問歯科のメリット
誤嚥性肺炎の予防
お口の中に汚れが残っていると、細菌が増殖しやすくなります。
また、飲み込む機能が低下していて、食べたものや細菌を含む唾液が気管に入ることで誤嚥性肺
炎のリスクが高まります。
そのため、口腔ケアを通してお口の中を清潔にし、口腔機能訓練で飲み込む機能を向上させるこ
とで、誤嚥性肺炎の予防をします。
認知症の予防
多くの歯を失い、入れ歯の使用をしていない方は「しっかり噛む」ことが難しく、脳に刺激が伝わり
にくいため、認知症のリスクが高まります。
一方、きちんと噛むことで顎から脳に刺激が伝わり、認知症の予防につながることが分かってい
ます。
そのため、しっかりと噛むための被せ物の治療やぴったり合った入れ歯の調整・製作を通して認
知症の予防を行っています。
低栄養の予防
お口の機能が低下すると、固いものや歯ごたえのあるものが食べづらく、柔らかいものを好んで食べるようになります。
そうすると、バランスのよい食事につながりにくく、低栄養になってしまうことがあります。
低栄養になると、身体を動かすエネルギーが不足して運動不足になったり、免疫力が低下したりするため、感染症にかかりやすくなるなどのデメリットがあります。そのため、お口の健康を維持しながら、しっかり噛むことができるようにお口の機能の向上をすることが大切です。
転倒の予防
噛み合わせは口の中だけでなく、全身のバランスに影響を及ぼします。
たとえば、多くの歯を失って、片方でしか噛めていない場合には、お口の中だけでなく身体のバラ
ンスも崩れてしまい、肩こりや頭痛の原因になる場合もあります。
筋肉の緊張などで、負担がかかると左右どちらかに力がかかり、転倒しやすくなります。
転倒は、骨折や寝たきりになる可能性もありますので、正しい噛み合わせを作って全身のバラン
スを整えることが大切です。
ただし、噛み合わせのバランスが悪い状態でも自分で自覚できていないことが多いため、定期的
に検診を受けてお口の健康を保ちましょう。
訪問歯科診療の流れ
1 お問合せ・お申込み
お電話やWEBからお問合せ下さい。
ご連絡いただく際に患者さまの症状やいつからその症状が出ているか、困りごとの状況をお知ら
せください。ご家族、介護施設や病院の担当の方も患者さまに変わって代理でお申し込みできま
すので、お気軽にご相談ください。
2 訪問日程の決定
ご希望の日程を伺い、予約状況を検討して訪問の日程を決定します。
予約状況により変わりますが、できるだけ早く日程を調整して伺えるようにしています。
痛みや違和感があるなど、緊急性がある場合にはその旨をご相談ください。
速やかにご訪問できるように、主治医やケアマネージャーと連携して事前連絡も行います。
・健康保険証
・介護保険非保険者証
・公費受給者証
・介護保険負担者割合証
・お薬手帳(服用しているお薬の内容が分かるもの)
を準備していただくようお願いしています。
3 初回訪問
お約束している日程にスタッフが訪問いたします。
初回は、お口の中の状況を把握するために、患者さまやご家族、介護担当者様にお話しを伺いま
す。お口の中を拝見し、必要に応じて検査や応急処置をする場合もあります。
4 治療計画の立案・ご説明
患者さまのお口の状態を検査した上で、どのような治療や口腔ケア、嚥下リハビリが必要なのか
などをご説明します。
その上で、患者さまにとって必要な治療計画を立案します。
また、治療や口腔ケアの治療費についても、事前にご説明しますので、ご安心ください。
治療計画に同意していただいて、次回から治療を進めていきます。
5 治療・口腔ケアの開始
事前にご予約いただいた日程で訪問スタッフが伺い、治療計画で立てた治療や口腔ケアを進め
ていきます。患者さまの体調が悪い時には無理して治療を行わない場合もありますので、あらかじめご了承く
ださい。全身状態や精神状態を考慮して治療を進めていきますので、その都度ご相談させていただきます
。以前なかった症状でも、困りごとや気になる症状がありましたら、ご相談ください。
6 定期メンテナンス
治療計画で検討した必要な治療が終わったら、メンテナンスの期間に移行します。
健康なお口の状態を維持するために、定期的なメンテナンスが必要です。
患者さまのお口の状態によって異なりますが、月に1~2回程度のメンテナンスをおすすめしています。
【まとめ】
入れ歯の不具合やお口の中に痛みがあって、通院したいのに、持病や精神疾患で歯科医院に通院できない方は訪問歯科が適用になります。
ご自宅や病院、介護施設に訪問して、歯科医院と同程度の治療や口腔ケアを受けることができるため、お口の健康維持のために大切です。
また、高齢の方は飲み込みが十分に行うことができず、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
飲み込むためのトレーニングも行うことができますので、お気軽にご相談ください。