ホワイトスポット
- 酸処理(エッチング)
まず、ホワイトスポットの部分に非常に弱い酸(エッチング剤)を塗布し、表面の薄い層をわずかに脱灰させて、エナメル質の内部のミクロな空隙(隙間)を広げます。
これにより、Icon®の薬剤が浸透しやすくなります。 - 乾燥
専用の乾燥剤で歯の表面と内部をしっかりと乾燥させます。
乾燥することで、エナメル質内部の空隙がより顕著になり、次のステップの薬剤が入り込みやすくなります。 - レジン浸潤
Icon®の主成分である特殊なレジン(樹脂)をホワイトスポットの部分に塗布します。
このレジンは、毛細管現象によって、エナメル質の内部にできたミクロな空隙へと深く浸透していきます。 - 光重合(硬化)
レジンが浸透したら、光を当てて硬化させます。
レジンが硬化することで、エナメル質内部の空隙が埋められ、光の透過性が回復します。 - Qホワイトスポットは必ず治療が必要ですか?
- A全てのホワイトスポットがすぐに治療を必要とするわけではありません。特に初期むし歯によるもので、進行が止まっている場合は、定期的な観察と予防管理で経過を見ることも可能です。しかし、見た目が気になる場合や、進行のリスクが高い場合は、Icon®などの治療をご提案します。
- QIcon®(アイコン)はどんなホワイトスポットにも効果がありますか?
- AIcon®は、エナメル質の初期むし歯(脱灰)によるホワイトスポットや、軽度~中程度のエナメル質形成不全によるホワイトスポットに特に効果を発揮します。しかし、むし歯が進行して穴が開いてしまっている場合や、ホワイトスポットの原因が異なる場合(例えば、歯の神経の壊死による変色など)は、適用できません。まずは精密診断でIcon®の適応となるかを確認させていただきます。
- QIcon®の治療中に痛みはありますか?
- AIcon®は歯を削る処置ではないため、基本的には麻酔も不要で、痛みを感じることはほとんどありません。治療中に、薬剤が歯に浸透する際にわずかな違和感を感じる方もいらっしゃいますが、すぐに治まる程度です。
- QIcon®の治療時間はどれくらいかかりますか?
- Aホワイトスポットの数や範囲にもよりますが、通常1歯あたり数十分程度で完了することが多く、来院回数も少なく済みます。
- QIcon®治療後の歯の色は、どのくらい自然になりますか?
- AIcon®は、歯の表面の色調を均一にし、周囲の健康な歯と自然に馴染ませる効果が非常に高いです。治療後の歯は、透明感を取り戻し、ホワイトスポットが目立たなくなります。ただし、治療効果や仕上がりは、ホワイトスポットの原因や程度、患者さまの歯の性質によって個人差があります。
- QIcon®治療後の注意点はありますか?
- AIcon®の治療後は、特別な制限はほとんどありません。ただし、治療した部分を長持ちさせるためにも、毎日の丁寧な歯磨きと、歯科医院での定期的なメンテナンスが重要です。
- QIcon®の治療費用はどのくらいですか?
- AIcon®によるホワイトスポット治療は、審美目的の治療であるため、保険適用外の自由診療となります。治療費用は、ホワイトスポットの数や範囲によって異なります。初診時のカウンセリングで、お口の状態を拝見し、治療計画とともに明確な費用をご提示いたしますのでご安心ください。

「歯の表面に白い濁りがあるのが気になる…」
「むし歯じゃないって言われたけど、見た目が気になってしまう」
もしかしたら、それは「ホワイトスポット」かもしれません。
ホワイトスポットは、歯の表面に現れる白く濁った部分で、初期のむし歯や、歯の形成過程での問題が原因で起こります。
多くの場合、痛みなどの自覚症状はないため、放置されがちです。
しかし、見た目を損なうだけでなく、将来的に本格的なむし歯へと進行するリスクをはらんでいます。
ホワイトスポットは、早期に適切な処置を行うことで、歯を削ることなく改善できる可能性があります。
このページでは、ホワイトスポットの原因から、当院で提供している具体的な治療法、「Icon®(アイコン)」についてご紹介します。
ホワイトスポットとは?:歯の表面に現れる「白い濁り」の正体
ホワイトスポットとは、歯の表面、特にエナメル質に現れる、チョークのような白く濁った、または白く不透明な斑点や縞模様のことです。
健康な歯の表面は透明感がありますが、ホワイトスポットがある部分は、光の反射が異なり、白く浮き上がって見えます。
多くの患者さまは、「これはむし歯ですか?」と心配されて来院されますが、ホワイトスポットは、必ずしも進行したむし歯とは限りません。
しかし、放置すると本格的なむし歯へと進行する可能性があるため、適切な診断と処置が重要です。
ホワイトスポットが引き起こすお悩み
見た目のコンプレックス
特に前歯にホワイトスポットがある場合、目立ちやすく、歯全体の白さや均一な色合いを損なうため、見た目に対するコンプレックスとなることがあります。
人前で口を大きく開けて笑うことをためらってしまう方もいらっしゃいます。
将来的なむし歯への進行リスク
初期むし歯が原因のホワイトスポットの場合、適切な処置を行わないと、時間の経過とともに本格的なむし歯へと進行し、最終的には歯を削る治療が必要になる可能性があります。
ホワイトスポットの原因:なぜ歯が白く濁るのか?
ホワイトスポットの主な原因は、大きく分けて二つあります。
それぞれの原因によって、適切な治療法が異なります。
当院では、口腔内診査をはじめとした丁寧な問診を通じて、患者さまのホワイトスポットがどちらの原因によるものなのかを正確に診断し、それぞれの原因に合わせた最適な治療法をご提案します。
1. 初期むし歯(脱灰)によるホワイトスポット

これは最も一般的なホワイトスポットの原因です。
歯の表面のエナメル質は、食事や飲み物に含まれる糖分をむし歯菌が分解して作り出す「酸」によって、ミネラル成分(主にカルシウムやリン酸)が溶け出す「脱灰(だっかい)」という現象が起こります。
脱灰が始まると、エナメル質の内部の構造が粗くなり、光の透過性が失われるため、白く濁って見えるようになります。
この状態はまだ穴が開いていないため、「初期むし歯」と呼ばれます。
唾液の働きやフッ素によってミネラルが再沈着する「再石灰化(さいせっかいか)」が起こることで、自然に修復される可能性もあります
が、脱灰が優位に進むとホワイトスポットが顕著になり、やがて本格的なむし歯へと進行します。
特徴
歯ブラシが届きにくい、プラークが溜まりやすい部分(歯と歯ぐきの境目、歯と歯の間、歯の溝など)に現れやすい。
白い部分がチョークのように不透明で、光沢がないことが多い。
2. 歯の形成不全(エナメル質形成不全症)によるホワイトスポット

これは、歯が作られる成長期の段階で、エナメル質がうまく形成されなかったために起こるホワイトスポットです。
遺伝的要因や、幼少期の高熱、栄養不良、特定の薬剤の服用、外傷などが原因となることがあります。
エナメル質のミネラルが正常に沈着しなかった結果、部分的にエナメル質が薄かったり、構造が不完全だったりして、白く濁って見えます。
特徴
歯ブラシの届きやすい部分など、特定の場所にとらわれず、歯の表面の様々な場所に現れることがある。
白い部分の光沢があり、初期むし歯によるものとは異なる見た目を示すことがある。
複数の歯に左右対称に現れることもある。
進行性ではないため、むし歯のように悪化することはないが、見た目の問題が大きい。
栃内歯科医院のホワイトスポット治療:歯を「削らずに」守り、美しく改善する
当院では、患者さまの大切な歯を「削らずに守る」ことを第一に考え、ホワイトスポットの治療に取り組んでいます。
特に、初期むし歯によるホワイトスポットに対しては、画期的な薬剤であるIcon®(アイコン)を用いた治療を積極的に行っています。
初期むし歯(脱灰)によるホワイトスポットの治療:基本は「削らない管理」から
初期むし歯によるホワイトスポットの場合、まずは歯を削らずに、再石灰化を促し、進行を抑制するための管理と治療を行います。
フッ素塗布
歯の再石灰化を促進し、エナメル質を強化するフッ素を歯の表面に塗布します。
定期的なフッ素塗布は、初期むし歯の進行抑制に非常に効果的です。
ブラッシング指導
むし歯菌の活動を抑えるため、効果的な歯磨きの方法を指導します。
特に、ホワイトスポットのある部分や、プラークが溜まりやすい部分の磨き方を丁寧にアドバイスします。
食生活の改善指導
糖分の摂取回数を減らす、だらだら食べをやめるなど、むし歯になりにくい食生活のアドバイスを行います。
定期的な経過観察
ホワイトスポットの状態を定期的にチェックし、改善が見られるか、あるいは進行がないかを確認します。
しかし、これらの管理だけでは見た目の改善が難しい場合や、審美的な改善を強く希望される方には、Icon®(アイコン)による治療をご提案します。
画期的なホワイトスポット治療:Icon®(アイコン)

当院では、特に初期むし歯によるホワイトスポット、そしてエナメル質形成不全症によるホワイトスポットの一部に対して、歯を削らずに見た目を改善する画期的な薬剤、Icon®(アイコン)を用いた治療を行っています。
Icon®(アイコン)とは、ドイツのDMG社が開発した、歯を削らずに、エナメル質の初期むし歯やホワイトスポットの見た目を改善するための特殊な薬剤です。
低粘度のレジン(歯科用樹脂)が主成分で、歯の内部に浸透しやすいように調整されています。
この治療法は「レジン浸潤療法」と呼ばれ、欧米では広く普及しており、その効果と安全性が確立されています。
Icon®(アイコン)の治療の仕組み
Icon®(アイコン)の画期的なメリット
歯を削らない
歯を一切削ることなく治療が完了するため、歯の健康な部分を最大限に残せます。
痛みが少ない
麻酔も不要で、ほとんど痛みを感じることはありません。
歯を削る音や振動もないため、歯科治療が苦手な方にも安心して受けていただけます。
審美性の改善
エナメル質内部の空隙が埋められることで、光の乱反射が抑えられ、ホワイトスポットが目立たなくなり、周囲の健康な歯と自然な色合いに馴染みます。
むし歯の進行抑制
レジンがエナメル質の内部に浸透し、硬化することで、初期むし歯の病変部位を物理的に封鎖します。
これにより、細菌や酸の侵入を防ぎ、むし歯の進行を効果的に抑制する効果も期待できます。
比較的短時間で完了
治療時間は、ホワイトスポットの数や範囲にもよりますが、通常1歯あたり数十分程度で完了することが多く、来院回数も少なく済みます。
長期的な安定性
一度浸潤させたレジンは安定しており、適切な口腔ケアを行えば長期的な効果が期待できます。
Icon®(アイコン)の注意点
全てのホワイトスポットに効果があるわけではありません。
エナメル質の内部にまで病変が限局している初期むし歯や、エナメル質形成不全の一部に特に効果を発揮します。
重度のむし歯や、エナメル質が大きく欠損している場合には適用できません。
治療後の歯の色の変化は、天然歯の性質上、個人差があります。
治療後は、定期的なメンテナンスが重要です。
歯の形成不全によるホワイトスポットの治療:ケースに応じたアプローチ

エナメル質形成不全によるホワイトスポットの場合も、Icon®(アイコン)が有効なケースがあります。
しかし、Icon®で改善が難しい場合や、ホワイトスポットの範囲が広い、または深さがある場合は、歯を最小限に削り、歯の色に近い白いプラスチック(コンポジットレジン)を詰めて見た目を改善する方法があります。
当院では、拡大鏡やマイクロスコープを使用し、健康な歯質を最大限に残しながら精密な治療を行います。
また、ホワイトスポットの範囲が非常に広く、他の方法では満足のいく改善が難しい場合や、他の審美的な問題(歯の形、歯並びなど)も同時に改善したい場合は、歯の表面を薄く削り、セラミック製の薄いシェルを貼り付けるラミネートベニアをご提案することもあります。
ホワイトスポット治療に関するQ&A:よくあるご質問