歯科医院での痛みと不安を解消!安心して健康な口腔環境を維持するためのブログ
2025/09/11
歯科医院へ行くことは、多くの方にとって少なからず「痛み」や「不安」を伴うものです。特に「歯石取りは痛いの?」「メインテナンスでは何をするの?」といった歯周病治療に関する疑問や、「歯周病を放置するとどうなるの?」という心配は尽きません。しかし、適切な知識と対策を知ることで、これらの不安は大きく軽減できます。
このブログ記事では、皆さんが安心して歯科治療や予防ケアを受けられるよう、以下のテーマに沿って詳しく解説していきます。
歯石取りは痛い?痛くしないための3つの工夫
メインテナンスで何をするの?毎回の流れと所要時間
歯周病の「放置リスク」は?いつ急いで受診すべきか
初めてでも怖くない唾液検査:採取~結果の見方
これらの情報を通じて、皆さんが「痛くない、怖くない」歯科医院と出会い、生涯にわたってご自身の歯で美味しく食事をし、笑顔でいられるための第一歩を踏み出すお手伝いができれば幸いです。
歯石取りは痛い?痛くしないための3つの工夫
まず、多くの人が不安を感じる「歯石取り」についてです。歯石取りは、なぜ行われるのか、痛みは伴うのか、そして痛みを軽減するための工夫について見ていきましょう。
歯石とは?なぜ除去が必要?
歯石は、プラーク(細菌の塊)中の細菌によって作られるものです。
プラークが歯に付着してから約2週間で石灰化し、歯石の芯となります。
この芯にさらに細菌が付着して、歯石は少しずつ大きくなっていきます。
歯石には大きく分けて2種類あります。
歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)
歯ぐきより上の歯の部分(歯冠側)に付着し、外から見える黄白色の歯石です。
比較的柔らかく、歯との付着力も弱いため、スケーリングで比較的簡単に除去できます。
歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)
歯周ポケットの奥深くにある歯の根っこ(歯根側)に付着し、外からは見えない褐色や暗褐色の歯石です。
強く石灰化していて非常に硬く、歯のセメント質にがっちりくっついているため、除去が困難です。
歯石を除去しないと、その周りに大量のプラークが付着しやすくなります。
歯石自体が悪いわけではありませんが、その表面に付着したプラークの毒素が歯ぐきを攻撃し、炎症(赤みや腫れ)を引き起こします。
特に歯周ポケット内に歯石が残っていると、プラークの細菌が歯周組織を刺激し続け、炎症がいつまでも治まらず、歯周病が悪化してしまうのです。
痛みが生じる可能性とその理由
歯石取り、特に歯周ポケットの奥深くにある歯肉縁下歯石の除去の際には、歯ぐきがヒリヒリしたり、冷たいものが歯にしみたりすることがあります。これは、次のような理由によるものです。
歯ぐきへの刺激と傷
炎症を起こしている歯周組織に器具(スケーラー)を挿入して歯石を除去するため、治療直後は歯ぐきの内部が傷つき、ヒリヒリとした痛みを感じることがあります。
歯質のわずかな削れ
歯石は歯にこびりついているため、除去する際に歯の表面をわずかに削ってしまうことがあります。
知覚過敏(ちかくかびん)
歯石除去後に歯ぐきの腫れがひき、引き締まることで、これまで歯石や腫れた歯肉に覆われていた歯根の表面が露出し、冷たいものなどがしみやすくなることがあります。
これらの反応は「異常なことではなく、炎症が改善したサイン」とされていますので、基本的には問題ありません。
痛くしないために歯科医院が行っている3つの工夫
歯科医院では、患者さんの痛みを軽減し、安心して歯石除去を受けてもらうために、さまざまな工夫をしています。
麻酔の活用
歯周ポケットの奥深くにある歯肉縁下歯石の除去や、歯ぐきが特に敏感な場合など、痛みが予想される場合には、局所麻酔を用いることで、治療中の痛みをほとんど感じさせずに処置を行うことができます。
丁寧なスケーリングとルートプレーニング
熟練した歯科衛生士は、歯周ポケットの深さや歯石の付着状況を正確に把握し、必要最低限の侵襲で歯石を除去します。歯質の削除量を少なくするため、超音波スケーラーや適切な手用スケーラーを使い分けることも有効です。
事前のプラークコントロールと知覚過敏対策
ブラッシング指導
歯石除去を行う前に、患者さん自身が日々のブラッシングを徹底し、歯肉縁上プラークをしっかり除去できるよう指導します。これにより歯肉の炎症をある程度抑えることができ、歯石除去時の痛みや出血を軽減できます。
知覚過敏抑制剤の塗布
治療後の知覚過敏が予想される場合や、すでに症状がある場合には、フッ化物などの知覚過敏抑制剤を歯面に塗布することで、症状の軽減が期待できます。
これらの工夫により、歯石取りの痛みや不快感を最小限に抑えることが可能です。不安がある場合は、遠慮なく歯科医師や歯科衛生士に相談し、ご自身の状態に合わせた対策を尋ねてみましょう。
メインテナンスで何をするの?毎回の流れと所要時間
「メインテナンス」と聞くと、「特別なこと?」と感じる方もいるかもしれません。
しかし、これは「患いのない」状態を維持し、生涯にわたって健康な口腔環境を保つための非常に重要なケアです。
近年では国も予防の重要性を認め、ある一定の基準の満たした施設に対し『かかりつけ強化型歯科診療所』という認定を与え予防を中心に据え、治療から予防へのパラダイムシフトを遂げています。
メインテナンスの重要性
メインテナンスの最大の目的は、むし歯や歯周病の再発を防ぎ、口腔内の健康な状態を維持することです。
歯科医院は「かかりつけ医」として、患者さんの生涯にわたる健康を継続的に診る唯一の医療機関であり、メインテナンスを通じて口腔内の小さな変化や全身の健康の予兆を早期にキャッチできます。
メインテナンスの成功には、歯科医師、歯科衛生士、歯科助手、受付といったすべてのスタッフが連携する「チーム医療」と、患者さんとの「情報シェア」が不可欠です。
客観的な資料を用いて、患者さん自身の口腔内の現状、リスク、予後、必要な治療情報をわかりやすく説明することで、ご自身の状態を理解していただき健康維持のためのメインテナンスを行っています。
毎回のメインテナンスの流れと内容
かかりつけ強化型歯科診療所でのメインテナンスは、一般的に以下のような流れで行われます。
口腔内診査と記録
口腔内規格写真・X線写真撮影
規格性のある口腔内写真やX線写真は、初診時だけでなく、メインテナンスのたびに撮影することが推奨されます。
これにより、経時的な変化を患者さんと共有し、現状を客観的に理解してもらうことができます。
歯周組織検査(プロービング、BOP)
歯周ポケットの深さ(PPD)や、プロービング時の出血(BOP)の有無を測定します。
BOPは歯周ポケット周囲に活動的な炎症があることを意味し、プラーク除去の必要性を示します。
むし歯の診査
初期むし歯の段階で発見し、適切なマネジメントを行います。
臨床データの蓄積と活用
データベースソフト(当院ではデンタルテン)などを活用し、BOP陽性率などの経時的変化を視覚的に患者さんに提示することで、情報共有を促進します。
プラークコントロール指導(TBI)
ブラッシング指導
患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせた正しいブラッシング方法を指導します。
歯間清掃指導
歯間ブラシやデンタルフロスの使い方を指導し、歯と歯の間の清掃の重要性を伝えます。
これは口臭予防にも効果的です。
プロフェッショナルクリーニング(PMTC)
歯石除去
歯ブラシでは落としきれない歯石を、スケーラーなどの専用器具で除去します。
バイオフィルムの破壊
むし歯や歯周病の原因となるバイオフィルム(デンタルプラーク)を機械的に除去します。
予防処置と生活習慣指導
フッ化物塗布
歯質を強化し、むし歯を予防するためにフッ化物を歯面に塗布します。ホワイトニング後の歯はフッ化物が浸透しやすくなるとも言われています。
食事・生活習慣指導
むし歯や歯周病のリスクを下げるため、砂糖や炭水化物の摂取量や回数、食べ方などの食生活についてアドバイスします。喫煙者には禁煙支援も行います。
患者さんへの説明と情報共有
すべての検査結果や処置内容について、客観的な資料(口腔内写真など)を用いて分かりやすく説明します。
患者さん自身の「行動変容」を促し、セルフケアのモチベーションを高めるための情報提供を行います。
毎回の所要時間
メインテナンスの所要時間については、具体的な数値の記載はありませんでしたが、患者さんと世間話をしたり、生活に関する詳しい話を伺ったりする時間を十分に確保することがかかりつけ強化型歯科診療所では重視されています。
徹底したチーム医療と丁寧な情報共有を行うためには、ある程度の時間が必要となるでしょう。
一回のメインテナンスで全ての歯周ポケットや口腔機能の細かなチェック、クリーニング、指導、そして情報共有まで行うと、通常30分〜60分程度の時間を要することが考えられます。
歯周病の「放置リスク」は?いつ急いで受診すべきか
歯周病は、多くの人が自覚症状がないまま進行してしまう「サイレントキラー」とも呼ばれる病気です。放置すると口腔内だけでなく、全身に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
歯周病とは?
歯周病は、歯垢(プラーク)の中の細菌が増殖し、歯と歯ぐきの境目(歯肉溝)に長く付着することで、歯周病菌が増え、歯ぐきに炎症を引き起こす病気です。 歯周病には、「歯肉炎」と「歯周炎」があります。
歯肉炎
歯周病の初期段階で、歯ぐきが腫れたり、出血しやすくなったりします。この段階では、歯を支える骨(歯槽骨)への影響はまだありません。
歯周炎
歯肉炎が進行し、プラーク細菌が増え続けると、炎症が歯槽骨などの深い部分まで進み、歯槽骨が吸収されてしまいます。歯ぐきが下がり、歯周ポケットが深くなり、最終的には歯がぐらつき、抜けてしまうこともあります。
放置した場合の口腔内へのリスク
歯周病を放置すると、口腔内で次のような問題が進行します。
歯周ポケットの深化と骨吸収
歯周ポケットが深くなると、さらにプラークがたまりやすくなり、悪循環に陥ります。炎症が歯槽骨に及ぶと、骨が溶かされていき、歯を支える力が失われます。
歯の喪失
歯槽骨の吸収が進むと歯がぐらつき、最終的には抜けてしまいます。
むし歯の悪化
歯ぐきが下がり歯根が露出すると、歯根面う蝕のリスクが高まります。歯根はエナメル質で覆われていないため、むし歯菌の酸の影響を受けやすく、一度むし歯になると治療が難しく、歯の喪失につながりやすいです。
口臭の悪化
歯周病は病的口臭の主な原因の一つです。歯周ポケット内の細菌がタンパク質を分解し、揮発性硫黄化合物(VSC)というガスを発生させるため、口臭が強くなります。
食事困難
歯がぐらついたり、抜けたりすることで、硬いものが噛めなくなり、食事が偏る原因にもなります。
全身への影響
歯周病は、口腔内だけの問題ではありません。歯周病とからだ全体に関係があることは、はっきりわかっているとされており、さまざまな全身疾患と深く関連しています。
糖尿病
糖尿病の人は歯周病になりやすく、悪化しやすいだけでなく、歯周病がある人は糖尿病が悪化しやすいという相互関係があります。歯周病治療が糖尿病の改善につながる可能性も指摘されています。
骨粗鬆症
骨粗鬆症の人は、体の骨密度が低いことから、歯を支える歯槽骨の吸収も進みやすく、歯周病になりやすい傾向があります。
動脈硬化症
歯周病の患者さんは全身が軽い炎症状態にあり、血液中の炎症性物質の数値が高くなるため、動脈硬化が起こりやすくなると考えられています。
関節リウマチ
関節リウマチの患者さんは歯周病にかかりやすく、重症になりやすいことが分かっており、歯周病治療によって関節リウマチが改善したという報告も多くあります。
妊娠予後
妊娠中の歯周病は、早産や低体重児出産の原因となるリスクを高める可能性が指摘されており、適切な口腔ケアが非常に重要です。
その他
慢性腎臓病 やがん、誤嚥性肺炎 など、多くの全身疾患との関連が研究されています。
このように、歯周病を放置することは、全身の健康を脅かす大きなリスクとなります。
いつ急いで受診すべきか
歯周病は自覚症状が出にくい病気ですが、以下のような症状が現れた場合は、進行が進んでいる可能性が高いため、急いで歯科医院を受診することが重要です。
歯ぐきの腫れや赤み、出血
ブラッシング時や硬いものを食べた時に歯ぐきから出血する、歯ぐきが赤く腫れている。
歯のぐらつき、長さの変化
歯がグラグラしている、最近歯が長くなったように見える。
口臭の悪化
口臭が気になる、口の中がべたついている。
食事の困難
硬いものが噛みにくい。
その他
歯ぐきがむずがゆい、痛みがある、歯に物が挟まる。
これらの症状は、歯周病が進行しているサインであり、早期に専門的な診断と治療を受けることが、歯と全身の健康を守る上で非常に重要です。「未病」の段階で早期発見・早期治療を行うことが、健康寿命の延伸につながります。
初めてでも怖くない唾液検査:採取~結果の見方
唾液検査は、むし歯や歯周病のリスクを客観的に評価し、個々人に合わせた予防計画を立てるための有効な手段です。初めての方でも安心して受けられるよう、その目的と内容について解説します。
唾液の役割と減少による影響
唾液は、単に口の中を潤すだけでなく、口腔内の健康を保つために多くの重要な働きを担っています。
洗浄作用
口腔内の食べかすや細菌を洗い流し、口の中を清潔に保ちます。
緩衝作用(かんしょうさよう)
むし歯菌の出す酸や、酸性飲食物によって酸性に傾いた口腔内を中和し、pH値を元に戻そうとします。
再石灰化作用(さいせっかいかさよう)
むし歯によって溶け出した歯のミネラル成分を、唾液に含まれるミネラル成分が補修し、歯を元の状態に戻そうとします。
抗菌作用
唾液に含まれる抗菌物質やタンパク質が、細菌の増殖を抑えます。
保護作用
歯の表面に「ペリクル」という薄い膜を形成し、歯を保護します。
しかし、ストレス、特定の病気(シェーグレン症候群など)、加齢、服用している薬の副作用など、様々な原因で唾液の分泌量が減少することがあります。唾液の量が減ると、これらの働きが弱まるため、口腔乾燥感やネバつきが生じるだけでなく、むし歯や歯周病のリリスクが格段に高まります。
唾液検査の目的
唾液検査は、主に以下のような目的で行われます。
むし歯のリスク評価
唾液の量、むし歯菌の数、唾液の緩衝能などを測定し、個人のむし歯になりやすさ(う蝕リスク)を客観的に評価します。
口腔乾燥症(ドライマウス)の診断
唾液分泌量を測定し、口腔乾燥症の有無や程度を診断します。
採取方法~結果の見方
具体的な唾液の採取方法や検査項目は、歯科医院や検査キットによって異なりますが、一般的には、専用のガムを噛んだり、唾液をスピッツに集めたりする方法が用いられます。採取自体は痛みや不快感を伴うものではありません。
結果の主な見方としては、以下のような項目が挙げられます。
唾液量
唾液の分泌量が多いか少ないかを確認します。少ない場合は、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
唾液緩衝能
唾液が酸を中和する能力を評価します。中和能力が低いと、むし歯のリスクが高まります。
むし歯菌(SM菌)の数
むし歯の原因菌であるミュータンス菌(SM菌)の数を測定します。菌数が多いと、むし歯のリスクが高まります。
飲食回数
問診から飲食回数を確認し、間食の頻度などがリスク評価に用いられます。
プラーク量
口腔内のプラーク付着状態を確認します。
これらの検査結果は、色や数値で分かりやすく表示され、歯科医師や歯科衛生士が丁寧に説明してくれます。
例えば、むし歯のリスクが高いと判断された場合は、フッ化物入りの歯磨き剤の使用、フッ化物洗口、間食回数の減少、キシリトールなどの代用糖の活用など、具体的な予防策が提案されます。
唾液検査は、ご自身の口腔内の「いま」を知るための有効なパスポートと言えるでしょう。
この情報を元に、ご自身の状態に合わせたオーダーメイドの予防計画を立てることで、効率的にむし歯や歯周病のリスクを管理し、健康な口腔環境を維持できます。
まとめ:全身の健康をサポートする「全身健康ステーション」としての歯科医院
このブログでは、歯科治療における「痛み」や「不安」を軽減し、安心して予防ケアを受けられるよう、具体的な情報を提供してきました。
歯石取りの工夫、メインテナンスの詳細、歯周病の放置リスク、そして唾液検査の重要性についてご理解いただけたかと思います。
現代の歯科医院は、単に歯を「治療する」場所から、口腔の健康を通じて全身の健康を「守り育てる」場所へと変化しています。
患者さんの全身的な健康や病気の予兆にも着目し、早期の対処を促す「全身健康ステーション」としての役割を担うことができるのです。
人生100年時代と言われる現代において、継続的なメインテナンスは、健康寿命の延伸に不可欠な要素です。
私たちは、口腔内の健康が全身の健康と密接に結びついていることを認識し、歯科医師や歯科衛生士と積極的にコミュニケーションを取りながら、自分自身の健康を主体的に守っていくことが求められています。
ぜひ、この情報を参考に、皆さんの口腔の健康、そして全身の健康を守るための第一歩を踏み出してください。
不安なことがあれば、いつでも歯科医院に相談し、専門家のサポートを賢く活用しましょう。
医療法人啓仁会 栃内歯科医院:https://www.tochinai-dental.com/
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